ニュースの概要
ファミリーマートは中国・四国地方の約1,200店舗で、おむすびや弁当などを運ぶ定温便の納品回数を、10月6日納品分から従来の1日3回から2回に改めました。対象となる定温便は約800品目を扱い、配送回数を減らす一方、地域の買い物の傾向に合わせてチルド弁当や冷凍弁当を販売します。狙いは、配送の効率だけを優先するのではなく、売れ残りと品切れの双方を抑え、店頭の品ぞろえを保つことです。物流の人手や費用が課題となる中、配送頻度の見直しを商品構成や販売計画と一体で進める取り組みといえます。
引用元: ファミマ、中国・四国でおむすび・弁当配送を1日2便化(Yahoo!ニュース / Impress Watch)
分析・見解
配送を1便減らす効果は、走行距離だけでは測れない
中国・四国地方の約1,200店で定温便を1日3回から2回にする変更は、車両の運行回数を抑え、運転手や仕分け担当者の負担を軽くする可能性があります。運行が減れば、燃料や車両の維持にかかる費用も抑えやすくなります。ただし、配送費は便数に比例して単純に減るわけではありません。納品をまとめることで一便当たりの荷物が増え、積み込み時間や店舗での荷下ろしが長くなる場合があるからです。
また、対象商品は約800品目に及びます。商品ごとに売れ方や日持ちが異なるため、同じ回数削減でも影響は一律ではありません。配送便の削減を成功させるには、幹線輸送の効率だけでなく、仕分け、店舗への納品、売場への陳列までを通した作業時間と費用を確かめる必要があります。
チルド・冷凍商品が、納品間隔を埋める選択肢になる
配送間隔が広がると、店舗は次の納品まで商品を切らさない量を確保しようとします。しかし、販売数を多めに見積もって常温の弁当を増やせば、売れ残りが増えるおそれがあります。ここでチルド弁当や冷凍弁当を組み合わせると、温度帯や保存期間の異なる商品を用意でき、従来の定温商品だけに頼らない品ぞろえをつくれます。
これは単なる商品の追加ではありません。消費期限が短い商品を売れ行きに応じて絞り、保存性の高い商品を必要な分だけ補うことで、納品の間をつなぐ設計です。ただし、冷凍商品には冷凍庫の容量、保管温度の確認、解凍や加熱の案内といった店頭側の仕事が伴います。商品を導入する際は、配送網だけでなく、売場設備や従業員の作業手順まで合わせて見直す必要があります。
店舗ごとの需要予測が、欠品と廃棄の分かれ目になる
1日2便の体制では、次の納品までに売れる量を見込む精度が、これまで以上に重要になります。曜日、時間帯、天候、近隣の学校や職場の休業日などで弁当の需要は変わります。地域全体の平均値だけで発注量を決めると、繁華街の店舗では欠品し、住宅地の店舗では売れ残るといった差を見落としかねません。
販売実績を使った発注支援は有効ですが、過去の売れ行きだけに頼るのも危険です。新商品の投入や地域行事など、過去に記録がない変化を店側が補う仕組みが欠かせません。店舗が売れ残りや欠品の理由を簡単に記録し、次回の発注に反映できれば、データと現場の知識を両立できます。納品回数の変更は、発注方法を整える機会にもなります。
地方の物流網では、地域ごとの運用設計が鍵になる
人口や店舗の密度が大都市と異なる地方では、一店舗当たりの荷物量が少なく、配送先同士の距離が長くなることがあります。そのため、便数を減らす効果は地域の道路事情や店舗配置によって変わります。中国・四国での変更は、全国一律の方法を当てはめるのではなく、地域に合わせて配送と商品構成を組み直す試みとして見るべきです。
今後の評価では、配送費だけでなく、売れ残り率、欠品率、店舗の作業時間、冷凍・冷蔵設備の利用状況を同時に追う必要があります。これらを店舗の立地や規模ごとに比べれば、どの条件なら2便化が有効かを判断しやすくなります。配送回数を減らすこと自体を成果とせず、必要な商品が買える状態を保ちながら、物流全体の負担をどれだけ下げられたかが評価の中心です。
ビジネスへの影響
便数削減の前に、商品別の売れ方と作業量を確かめる
小売企業が配送頻度を見直す際は、まず対象商品を消費期限や売上の変動幅で分けることが実務的です。販売数が安定し、保存性も高い商品は納品をまとめやすい一方、昼食時に集中して売れる弁当は、配送を減らすと欠品の影響が大きくなります。店舗別、曜日別、時間帯別に販売数と廃棄数を並べ、どの商品から変更できるかを判断します。
費用の試算には、運送会社への支払いだけでなく、仕分け、荷受け、陳列、廃棄処理にかかる時間も含めます。便数を減らしても、納品が集中して店舗の受け入れ作業が増えれば、店舗側の負担が膨らむ可能性があります。変更前後で比較できるよう、欠品率、廃棄率、納品作業時間を同じ定義で記録することが重要です。
チルド・冷凍の導入は設備と手順を含めて判断する
チルドや冷凍の商品は、納品間隔の拡大を補う手段になり得ます。ただし、導入判断では商品原価や販売見込みに加え、冷蔵・冷凍設備の空き容量、電気代、温度管理、売場での案内方法を確認します。設備投資が必要な店舗と、既存の設備で対応できる店舗を分けて考えると、導入費用と期待効果を比較しやすくなります。
また、販売数が少ない商品を増やし過ぎれば、保存期間が長くても在庫が滞留します。最初から全店に広げるより、立地や客層の異なる店舗で小規模に試し、売上、廃棄、作業時間、客の反応を確かめる方法が堅実です。試行結果を商品構成や発注基準に反映し、店舗が続けられる手順に整えてから対象を広げるべきです。
効果測定は運送費だけでなく、店頭の買いやすさも見る
経営判断では、配送費が下がったかだけで成否を決めないことが大切です。便数の削減によって欠品が増えたり、店舗従業員の作業が長引いたりすれば、顧客の利便性や現場の継続性を損ないます。運送費、食品廃棄、欠品、店舗作業を一つの評価表で追い、地域や店舗規模ごとに結果を比べます。
数週間から数か月の実績を見て、天候や季節行事による一時的な変動も区別します。効果が出た店舗の条件を特定できれば、同じ地域の店舗への展開や、別地域での試行に役立ちます。物流の変更を現場任せにせず、商品部門、物流部門、店舗運営部門が共通の指標を持つことが、費用削減と品ぞろえ維持を両立させる近道です。
