このページはPR・広告を含みます
ヨシケイが利用者限定コミュニティを開設、ミールキット宅配は「届けた後」の関係づくりへ

MEAL KIT / FIELD NOTE

ヨシケイが利用者限定コミュニティを開設、ミールキット宅配は「届けた後」の関係づくりへ

ヨシケイが創業50周年を記念し、利用者限定のコミュニティサイト「with YOSHIKEI」を開設。ミールキット宅配が配送後の関係づくりへ踏み出す意味を、生協や無印良品の例と比べて読み解き、運営や効果測定の実務ポイントも整理する。

ニュースの概要

ミールキットや食材の宅配を手がけるヨシケイグループが、創業50周年の記念事業として、利用者だけが入れるコミュニティサイト「with YOSHIKEI」を開設した。これまで同社は、毎日の夕食に使う食材とレシピを家庭へ届けることを事業の中心に据えてきた。新サイトでは、商品を届けて終わりにせず、利用者どうしや会社との継続的なやり取りを生み出すことを狙う。食卓にまつわる情報の共有や、双方向の意見交換を通じて、これまで配送の瞬間に限られていた顧客との接点を、日常の暮らしの中へ広げる構えだ。宅配サービスが「モノを届ける会社」から「関係を育てる会社」へ軸足を広げる動きとして読める。

引用元: ヨシケイ、利用者限定コミュニティサイト「with YOSHIKEI」を開設(Yoshikei Development Co., Ltd.)

分析・見解

配送の数十秒しかなかった接点を日常へ広げる

宅配型のミールキットは、顧客との接点が驚くほど少ない。注文はカタログやアプリで済み、受け取りは玄関先の短いやり取りだけだ。会社と利用者が言葉を交わす場面は、配達の数十秒に限られることが多い。

しかし、続けるかやめるかを決める判断は、その間の食卓で起きている。味付けが家族に合わなかった、調理に思ったより時間がかかった、冷蔵庫に置く場所がなかった。こうした小さな不満は、声にならないまま解約へつながりやすい。新サイトは、この見えない時間に会社が入り込むための窓口と位置づけられる。

閉じた場だからこそ話せる食卓の本音

SNSは広がる力が強い反面、企業が話題を整えにくい。利用者限定の場なら、参加者は同じサービスを使う人だけだ。「この献立は子どもが食べた」「余った野菜はこう使った」といった話が、前置きなしで通じる。初めて使う人も、他の家庭の工夫を見て不安を減らせる。会社側にとっても、アンケートでは拾えない生の言葉が手に入る。

ただし、閉じた場には弱点もある。参加者が少ないと投稿が途絶え、すぐに閑散とした印象になる。書き込む手間を重く感じる人も多い。見る人が大半で、書く人はごく一部という偏りは、多くのコミュニティで避けられない。

生協と無印良品の例が示す、つながりの作り方

宅配で人のつながりを生かした先例は、生協(生活協同組合)の共同購入である。近所の人が班をつくって注文し、受け取りの場で自然に会話が生まれた。個別宅配が主流になるとこの会話は減ったが、代わりに便利さは増した。ヨシケイの試みは、会わずに済む便利さを保ったまま、失われた会話をネット上で足し直すものと読める。

また無印良品は、利用者の声を商品づくりにつなげる場「IDEA PARK」を長く運営してきた。投稿が採用されて形になる実感があるから、人は参加し続ける。つながりを生む鍵は、雑談の場を用意することよりも、自分の声が反映された手応えを見せることにある。

成否は投稿数でなく解約と再開の動きに出る

指標として投稿数は目立つが、本質ではない。見るべきは、参加した人が参加しない人より長く続けているか、一度休んだ人が戻ってくるかという点だ。ミールキットは忙しい時期だけ休む人も多く、再開しやすい入口があるかどうかが売上を左右する。コミュニティが「戻りやすい居場所」になれば、休会が解約に変わる流れを止められる。

創業50周年という節目の企画だけに、記念施策で終わらせず、日々の運営に組み込めるかが問われる。担当者が替わっても続く仕組みと、投稿への返信を早く返す体制が土台になる。

ビジネスへの影響

まず顧客の本音を集める窓口として使う

食品宅配や定期購入を扱う企業が同じ発想を取り入れるなら、最初の目的は「売る」ではなく「聞く」に置くとよい。アンケートは回答すること自体が目的になりがちだが、会員どうしの会話には、解約前の迷いや使い方のつまずきが具体的な言葉で残る。それを商品の改善や配送案内の見直しに回せば、投稿した人にも変化が見える。

最初から大きな機能は要らない。献立の写真共有と質問コーナーだけでも十分に始められる。小さく始めて、使われ方を見ながら足していくほうが失敗は少ない。

運営を担当者任せにしない体制をつくる

コミュニティの典型的な失敗は、立ち上げ時だけ盛り上がり、担当者の異動や多忙で更新が止まることだ。商品企画、配送、問い合わせ窓口、広報がそれぞれ関われる形にして、返信のルールを決めておきたい。たとえば「質問には翌営業日までに必ず答える」といった簡単な約束で十分に効果がある。

投稿の扱い基準も事前に文章にしておく。個人情報、体調や衛生に関する発言、他社との比較は、後から対応すると混乱しやすい。

三つの数字で効果を確かめる

見るべきは、参加者と非参加者の継続率の差、問い合わせ内容の変化、投稿から生まれた改善の件数である。参加者の継続率が高くても、もともと熱心な人が集まっただけの可能性がある。参加前の利用頻度をそろえて比べると、実態に近づく。

三か月ごとに結果を見直し、効果が薄ければ機能を絞る判断も必要になる。あわせて、届けたい相手が週に何度も使う層なのか、休みがちな層なのかを先に決めておくと、設計がぶれにくい。

関連記事